第一章第五話 黒い瞳
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――目覚めよ、我が分身。我が魂……
「…………ィ……アオイ、アオイ! 朝よ! イチカに置いてかれるわよ!!」
「ぅん……? あ、ラニアおはよ〜……」
視界のぼやけを取り除こうと、二、三度瞬きをする。目の前にはラニアがいた。碧は一瞬誰かと思ったが、昨日の今日で忘れられるはずがない顔だ。覚醒していない頭でもそれは理解できた。
「早くしないと! みんなもう外に出てるのよ!!」
碧の頭の中はまだ寝ていた。与えられた情報を脳内で整理するのがやっとだ。
(置いて行かれる……みんな外に出てる…………“外に出てる”?)
「……ええっ!? うそおっ!!!」
ようやく全身が起き、碧は急いで身支度を始めるのだった。
「おっ、来た来た。アオイー! あねさーん!!」
宿の外に出ると、カイズたちが地面に腰掛けていた。
「ごめーん!!」
「師匠、来ましたよ……って早いよ師匠ーー!!」
ジラーが呼びかける前に、イチカは既にメンバーよりも五十メートルほど先を歩いていた。
「あ、兄貴ーーっ?!」
―― 一方、宿の側にある木の上。黒い影がもぞもぞと動く。
「…………えーーっ!? ウソっ! もう宿出てるう!! 早いわよっ!!」
烏翼使忍者が起きたのは、イチカたち一行が出発して約十分後のことだった。慌てて気配を探るが、既にもぬけの殻である。
「てめえが
遅えんだ雌豚」
例の薄黄色の髪の男がつっこむ。相変わらず不機嫌極まりない上に口が悪い。
「なによお! ならあんたが起こしてくれればいいんじゃない!!」
「ふざけんな。鶏でも置いておけ」
魔族同士、ギャーギャーと言い争う。端から見れば、ちょっとは仲がいいように見える。
そんな彼らから数百メートル離れた街道。噂好きな女性陣は、リーダーの事について話していた。
「ねーラニア。イチカっていつ帰ってきたのかなぁ?」
リーダー、つまりイチカに聞こえないよう、小声で話す碧とラニア。昨晩理不尽なことを言われたにも関わらず、碧はやはり彼のことが気になるらしい。
「あの後すぐに帰ってきたみたいよ。一晩中起きてたって聞い――」
ラニアが言葉を切る。その理由を訊ねようとして、碧も気づいた。
――自分たちを囲むように渦巻く殺気に。
「大勢だぜ」
「ええ。さっきから気配が増えてるとは思ってたけど」
カイズの言葉に、ラニアが頷く。
「二、三十人程度だ。だが……」
イチカが取り出していた剣を収める。
「なっ……! マテリカ!?」
ラニアが叫ぶ。彼らを囲んでいたのはウイナーの住民だったのだ。だが、イチカたちにとっては見知った顔ばかりだ。
「……逃げるぞ」
彼らは何者かに操られている――。イチカは瞬時に判断し、勢いよく駆けだした。相手が操られている以上、むやみに戦えない。ましてや、それが仲間の友人、知人ならば尚更だ。
「……逃げた、か」
住民を笛で操っていたのは、烏翼使忍者の烏女。魔星にのみ生息する
魔烏の羽根を特殊加工したものだ。笛の音は抵抗力の弱い人間にしか聞こえず、思考の全てを支配されてしまうのだ。
木陰に隠れていた烏女は、素早くイチカたちのあとを追う。その木の上では、先ほどまで烏女と口喧嘩をしていた男が彼女を見下ろしていた。
「……追ってこないよな……?」
あれだけの人数。ましてや、関わり合いになりたくない者たち。相容れたくないのは、皆同じだった。
「……追ってこないとも限らない。あそこの小屋に入るぞ」
イチカが仲間たちに勧める。だが彼がそう言ったときには烏翼使忍者は既に、そう遠くない木の上にいた。顔を覆面で隠し、じっと目標を見つめる。
「……さて……」
烏女は髪に挿した烏の羽根を取り、手の平に乗せた。それに片方の手をかざす。
「
死の烏翼」
彼女がその言葉を紡ぐと、手のひらに置いたはずの羽根は消えた。否、見えなくなったのだ。
「はっ!」
魔力を十分に込め、羽根にふっと息を吹きかける。すると通常ではあり得ない速さで目標へ――碧へと向かっていく。
「……!」
イチカはその気配に気づき、無言で碧の前に立つ。庇うような位置に碧はもちろん、他の三人も驚きを隠せない。
「イチカ?」
碧の言葉には答えず、剣を抜く。僅かに切っ先を動かした――ように彼女には見えた。
次の瞬間、碧らが見たのは、イチカの目の前に落ちている黒い羽根の残骸。ただの羽根のようだが、よく見れば凶器になりかねない鋭い棘が幾つも生えていた。
「あ、ありがとう」
イチカが庇ってくれなければ、あの羽根に刺されていたのは碧だった。そのことを想像し真っ青になりつつも、喜びが先立つ。
「……勘違いするな。助けたくて助けた訳じゃない」
イチカは羽根が飛んできた方向をじっと見据えたまま、そう言った。彼の場所から姿は見えないが、敵からはこちらが見えているということになる。油断はできない。
木の上では、先ほどのイチカの剣さばきに、さすがの烏翼使忍者も驚愕していた。
(なっ……! あれは姿を消す上に、殺気も消されるはず!! なのに何故気づいた……!?)
「ハッ。所詮てめえの実力はその程度ってこった」
烏女の心の内が分かっているかのように言う男。カッと頭に血が上る。
「……なによ! ならあんたはできるワケ、クラスタシア……っ?!」
烏女が言い終わるより早く、男の手が彼女の首を掴んでいた。
「下等生物の分際でこのおれの名を呼ぶんじゃねえ」
静かな、しかし隠しきれない侮蔑と怒りの声調で言い、手に込めた力を強める。烏女の足が宙に浮く。
「ぐ……うっ……!」
「このままてめえの首をへし折りてえとこだが……魔王様のご命令とあっちゃしょうがねえ。生かしておいてやる」
男が手に込めた力を抜く。同時に、烏女の身体が木の枝にすとん、と落ちる。烏女は荒い息をしながら、男――クラスタシアを睨みつけた。
「このことがあの方に知れたらどうする気だ? クラスタシア」
声は、烏女ではなかった。
「……ヴァーストか。魔王様に告げ口するか?」
「いいや、そんな気はないさ。おれはただ様子を見に来ただけだが……この有様か」
ヴァーストと呼ばれた男は、烏女を見下して冷めた口調で言った。淡い緑のローブに身を包み、両頬に古い切り傷、そして耳が尖っている。外見と会話から判断する限り、彼らの仲間であることは明白だ。
「っ……まだ失敗したと決まったワケじゃない!」
声を張り上げて言う烏女。
「どう取ろうが個人の自由だが……二度目はないと思え」
烏女に忠告をし、一瞥を投げてヴァーストは消えた。
「あー
汚えな……おれも帰るとするか」
烏女の首を絞めた方の手のひらを忌々しげに見つめるクラスタシア。そののち木の上から音もなく飛び降り、眼にも止まらぬ速さで走り去った。
「く……くそぉっ!」
あとに残された烏女は、自分の拳を木に打ち付けた。無力なことを嘆くかのように。
碧は耳を疑った。彼の言葉は今までの言動から考えれば当然なのだが、それでもどこか引っかかるものがあった。
「……どういうこと?」
「詳しいことは中で話す」
イチカはそう言うと、小屋のドアを開けた。中は異常なほど殺風景であった。そこには何もないのだが、五人入れば窮屈なほど狭い。簡素な造りの外観と相違ない。イチカはその中央あたりに腰掛け、ぽつりぽつりと話し始めた。
「……知ってるだろうが、おれはお前たちと別れて森を歩いていた。何の前触れもなく、突然目の前に子供が現れた。……」
――奥まで入り込んでいる。
イチカはそれに気づいていたが、歩みを止める気にはならなかった。否、止めようとしても、おそらく止まらなかっただろう。何かに、呼ばれているような気がしたから。
ふいに足を止めた。彼の目の前で、小さな子供が泣いていた。自分の肩幅よりもつばの広い白の帽子を目深に被っていて、その表情は見えない。白いワンピースを着た少女は、この闇の中で何よりも目立っていた。
「どうした?」
イチカは少女に歩み寄り、少女と同じ目線で話しかけた。彼なりに優しく話しかけたつもりだが、少女は肩を震わせて泣いているばかり。
「……泣いていても分からないだろう」
「……ぉ……」
「?」
ようやく少女が口を開くが、声が小さすぎて聞こえない。
「まおうぐん……アオイを……ころそうとしてる……」
「…………」
その名前の響きに嫌悪感を感じながらも、黙って少女の言葉に耳を傾けるイチカ。
「みんなが……そろうまで……イチカがまもらないと……ぐすっ……アオイがしんじゃうの……」
何故他人の事でここまで泣けるのか、イチカにとってはそれが一番の疑問だった。
――あいつと、同じだ。
イチカは無意識のうちに、碧を思い浮かべていた。大芋虫との戦闘後、まるで旧知の間柄のように再会を喜んでいた。
「……仲間のことか? それならもう揃っている」
「ううん、ちがう、もうすこしふえるの。おねがい……みんなそろうまで……イチカが、アオイをまもってあげて……?」
「……そんなことが……」
「泣いて頼まれたら断るわけにもいかないからな」
碧は驚くしかなかった。はたしてこんな偶然が、あってもいいものなのかと。
「なーんだ。あたしはてっきり――やっぱりなんでもない」
(本心かと思ったんだけどねー……)
ラニアは言おうとしたことを、心の中に留めておくことにした。
「……?」
妙なところで言葉を切るものだから、イチカはわけが分からない。
「まあいいが……あんたも会ったのか? その表情だと、そう思いたくもなる」
碧に目をやるイチカ。
「うーん……会ったっていうか、声がしたの。“あと三人仲間が増える”って」
「それって、八人になるってこと!? 大人数じゃない?」
「いーじゃん姉さん。オレたちの仲間になるってことは、それなりの戦力があるってことだろ?」
カイズがフォローする。
「待ってみるのもいいよなー。八人になるの」
ジラーものんびりとした口調で言う。二人とも心なしか楽しそうである。
「……そうだな」
イチカが小さく溜め息を吐いて言った。
「みんな……ありがとう」
「水くさいわよアオイ! 『旅は道連れ世は情け』って日本の言葉にあるでしょ?」
「そ、そうだね」
どうやらラニアは日本のことわざまでも知っているらしい。どこまで知っているのか、碧にとってははなはだ疑問である。
――先ほどよりもやや近間の木で、烏女は再び笛を吹き始める。ただし今度は、先ほどとは違う旋律。
(出てこい女……今度こそ、息の根止めてくれる……!)
先刻奏でたものよりも、強く乱暴な音色。それは笛に込めた殺意。矛先は――あの娘。
碧の脳内が真っ白に染まる。だがそれは一瞬で、誰も気づかなかった。
「……ちょっと、外に出てくる。気分が悪い……」
「え、大丈夫? あたしついて行きましょうか?」
「ううん、大丈夫……すぐ戻ってくるから……」
ゆっくりと立ち上がり、ドアへ向かう。碧の脳や身体は、烏女の笛によって支配されていた。
ふらふらとおぼつかない足取りで、碧は歩みを進める。――烏女の羽根が、確実に彼女に命中する場所まで。
「死の烏翼……」
烏女の手のひらにあった羽根は、目標を定めて一直線に向かう。
「行け、我が化身!! 奴の心臓を貫け!!」
見えない死の羽根は、確実に碧の心臓に突き刺さる――はずだった。
「……!」
突然意識を取り戻した碧は殺気に気づき、反射的に避ける。
「痛っ!!」
だが完全には避けられず、左腕に羽根が刺さる。小さな羽根だったが、痛みがじわじわと広がり、徐々に体力が消耗されていく。
「外したか……ならば! 実力行使あるのみ!!」
烏女は木の上から降り立ち、碧に向かって走る。手に黒き死の羽根を握りしめて。
「はぁ……はぁ……っ!」
(黒い……眼……)
烏女の瞳は日本人のように漆黒だった。覆面からのぞく髪も、碧の知っている黒髪で。
碧は抵抗しなかった。否、抵抗できなかった。「日本人」に殺されることが、『彼』へのせめてもの償いだと思ったから。
「死ねぇ!!」
碧は強く目を瞑った。
「きゃああっ!!」
だが次の瞬間聞こえた悲鳴は、明らかに自分のものではなかった。おそるおそる眼を開ける碧。
――そこにあったのは剣で脇腹を貫かれた烏女と、見慣れた銀髪。
「イチカ!!」
「ぐぅ……っ!」
「……すぐに戻ってくると言ったのは誰だ」
烏女の脇腹から剣を抜き、振り向かずに訊ねるイチカ。
「え?」
自分がそんなことを言ったのか、という顔をしている碧に、イチカは本日数度目の溜め息を吐く。
「……まあいい。大体察しはつくが、何者だ?」
今度は烏女に訊ねるイチカ。
「貴様らに名乗る名などない……!!」
血が滴る脇腹を押さえ、ゆっくりと後退する烏女。
「なら質問を変える。お前は魔王軍の一人か?」
「……ああ、そうだ。ひとまず今回は退くが、次は必ずお前の首を頂戴する」
碧を一瞥し、烏女は黒い羽根を残して消えた。
「……消えたか」
イチカが振り返って碧を見る。正確に言うなら、碧が腕に負った傷を。
「……あ、大丈夫! かすり傷だから!」
その視線に気づき、碧は首と手を振る。イチカは何も言わず、自らの懐から包帯を取り出し、碧に渡した。
「え……」
イチカの意外な行動に戸惑う。
「……どこがかすり傷だ」
それは刺し傷だ、と付け加えて小屋へと歩き出すイチカ。
「あ、そっか。ありがとう」
木陰に二人を見つめる、幼い少女の姿があった。少女は満足そうに微笑み、指を碧の左腕に向ける。
左腕の痛みが癒えたような気がして、碧は振り返った。視線の先には白い少女。碧に向かって手を振っているが、目深に被った帽子のせいで顔の大部分は見えない。
(……女の子?)
少女の口元が笑みをつくる。そしてその直後に、少女は消えた。
「……どうした」
随分と間が空いた碧に訊ねるイチカ。
「……ううん。なんでもない」
とは言ったものの、碧はあの少女が気になって仕方がなかった。
「ええーーーーっ!!??」
そのあまりにも大きな声に、木々に止まっていた小鳥が飛び立つ。声の主はラニアである。
「魔王の手下の一人に襲われた、ですってえええ!? 大丈夫なのアオイ!!」
「う、うん」
そのあまりにも凄みのある声と剣幕に、耳を塞ぎながら頷く碧。
「あーよかった……ってその腕は?!」
「え、あ、その魔族の人に刺されて……」
ラニアは大袈裟なほど顔に手を当て、反り返る。
「……まあでも、その程度で良かったわ〜。もー少し遅かったら、どうなってたことか……」
そう言って、イチカを睨むラニア。
「……何故おれを見る」
イチカも負けじと睨み返す。ちょっとした喧嘩が始まったが、碧は気にせずに別のことを考えていた。
(あの声が言ってたことは、本当だったんだ)
「やっぱりあれは、夢じゃなかったのかぁ」
ぽつり、と呟く。何気ない一言だったが、それまで喧嘩(?)をしていた者もしくは仲裁していた者は、碧の言葉でぴたりと動きを止める。
「「「「夢?」」」」
そして、四人の声が見事に重なった。
「ねー魔王サマ〜。あの女全っ然役に立たないわよお〜?」
北にある寂れた城。そこに魔族が集結していた。王座に腰掛けた魔王に、一人の女がじゃれつく。魔王は心底迷惑そうな顔をしているが、女は気にした様子もない。
尚、この女はクラスタシアである。普段はこのようにドレスを着込み、女口調になっている。女嫌いにしては矛盾している行動だ。
「……クラスタシア。お前やっぱり男のままの方がいいと思うぞ」
堪りかねてヴァーストが言う。男の割には声が高いのでそれほど気にする必要もないのだが、『彼』をよく知っているヴァーストにとっては見るに耐えない光景である。
「なあ〜んでよ〜? 男のまま魔王サマにじゃれつくよりマシでしょお?」
「どっちも微妙だ」
「失礼ねえ! それよりも魔王サマ、あの女殺しちゃダメなの? そりゃ魔王サマがあの女のコト好きなのは分かるけど、元は人間よ? 結ばれるか分かんないのよ?」
そう。烏女はもともとは人間だったのだ。それを魔王が拾い、魔族にしたのである。
「……確かにそうだが……」
異常なほど密着してくるクラスタシアに、表情を引きつらせながら言う魔王。
「烏翼使忍者は任務に失敗しております。我々魔族にとって、ミスを犯すなどということは万死に値します。それでも、貴方はあの娘を飼い慣らすおつもりですか?」
クラスタシアの代わりに、ヴァーストが事務的な口調で淡々と言う。我に返った魔王は咄嗟に反論する。
「飼い慣らしてなど……!」
「ならば、我々の意見にお従いください。もともと我らフィーア・フォースは
四人でひとつ。烏翼使忍者は補欠に過ぎないのですから」
ヴァーストの言うことは全て正しかった。フィーア・フォースとは魔王直属の魔族のこと。彼らが魔族として認めていない烏女は、魔王が強く願っても補欠のままだったのだ。――もっとも、彼らに言わせれば「補欠にもなっていない」そうだが。
「……分かった……」
「ありがとうございます。それでは」
「ありがと〜魔王サマ!」
ヴァーストとクラスタシアは満足顔でその場を後にした。残された魔王は、やり場のない怒りを冷たい床に打ち付ける。
「烏女……オレを許せ……」
魔王は、泣いた。
「はあっ、はあっ……」
深い森の中を烏女は走る。脇腹を刺されたが、そんなことに構っていられない。立ち止まり、手近な木に身を寄せる。
「くそっ……! あの男さえいなければ、あたしの計画は成功していたのに……!!」
荒い呼吸をする彼女の背後に、忍び寄る影があった。だが、烏女は息を整えることに夢中で気づいていない。
「次こそはあの女を殺し……この世界を、我が魔王様の物に……!!」
――声は続かなかった。代わりに、何か熱い物が喉の奥から込み上げてきた。
「いや。むしろお前は必要ない」
烏女は何が起きたのか理解できなかった。彼女の腹から、獣のような手が生えている。
「な――……」
「もう用済みだ」
その手を、勢いよく引き抜かれる。と同時に、烏女は大量の血を吐き出した。
地に倒れ伏す烏女。ピクリとも、動かない。うつ伏せになった彼女の腹部あたりから、大量の血が流れ、地面に染み渡る。
「……ったく手間かけさせやがって。オレならヤツらを倒せる」
彼女を貫いた手を見つめ、嘲笑う男。
「この
獣配士ヴァーストならな……」
そう言って、男は不敵な笑みを浮かべた。
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